実務の現場では、「懲戒解雇=重責解雇」と理解されているケースが少なくありません。しかし、雇用保険の手続きにおいては、この認識が誤解であることも多く、
それが思わぬトラブルにつながることがあります。
ではそもそも、「重責解雇」という言葉はどこから来たのでしょうか。
■ 法律には存在しない言葉
まず押さえておきたいのは、「重責解雇」という言葉は法律用語ではないという点です。労働基準法や労働契約法にはこの言葉は出てきません。
法律上の正式な表現は「自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇」です。
■ 行政実務で使われる言葉
一方で、厚生労働省やハローワークの実務ではこの長い表現を簡略化し、
「重責解雇」という言葉が使われています。
実際に、離職票の記載要領やハローワークの説明資料でも、この言葉が明確に使用されています。
■ なぜこの言葉が必要なのか
雇用保険の制度では、離職理由によって給付の内容が大きく変わります。
そのため、単なる「解雇」ではなく、
・労働者に責任がない解雇
・労働者に重大な責任がある解雇
を明確に区別する必要があります。その結果として生まれたのが「重責解雇」という実務上の概念です。
■ 3つの層で理解する
この言葉は、次の3つの層で整理すると理解しやすくなります。
@ 法律(雇用保険法)
「自己の責めに帰すべき重大な理由」
A 行政(厚生労働省・ハローワーク)
「重責解雇」という表現で運用
B 実務(会社・手続き)
離職票や給付判断で使用
つまり、
「重責解雇」とは雇用保険の実務を円滑にするための行政上の用語
ということになります。
■ なぜ誤解が生まれるのか
ここで誤解が生まれやすい理由があります。
それは、会社で使われる「懲戒解雇」と、この「重責解雇」が似た印象を持つためです。
しかし、
懲戒解雇は会社の処分
重責解雇は雇用保険の判断
であり、まったく別のものです。
■ まとめ「重責解雇」という言葉は法律には存在しません。
しかし、厚生労働省やハローワークの実務の中で明確に使用されており、
雇用保険の給付判断において重要な役割を持っています。
この言葉の成り立ちを理解することで、なぜ会社の判断とハローワークの判断が異なるのかが見えてきます。













