今さら聞けないシリーズー実務のリアル
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作成日:2026/04/19
「重責解雇」という言葉はどこから来たのか



実務の現場では、「懲戒解雇=重責解雇」と理解されているケースが少なくありません。しかし、雇用保険の手続きにおいては、この認識が誤解であることも多く、
それが思わぬトラブルにつながることがあります。
ではそもそも、「重責解雇」という言葉はどこから来たのでしょうか。


 法律には存在しない言葉
まず押さえておきたいのは、「重責解雇」という言葉は法律用語ではないという点です。労働基準法や労働契約法にはこの言葉は出てきません。

法律上の正式な表現は「自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇」です。

 行政実務で使われる言葉
一方で、厚生労働省やハローワークの実務ではこの長い表現を簡略化し、
「重責解雇」という言葉が使われています。
実際に、離職票の記載要領やハローワークの説明資料でも、この言葉が明確に使用されています。

 なぜこの言葉が必要なのか
雇用保険の制度では、離職理由によって給付の内容が大きく変わります。
そのため、単なる「解雇」ではなく、
・労働者に責任がない解雇
・労働者に重大な責任がある解雇
を明確に区別する必要があります。その結果として生まれたのが「重責解雇」という実務上の概念です。

 3つの層で理解する
この言葉は、次の3つの層で整理すると理解しやすくなります。

法律(雇用保険法)
「自己の責めに帰すべき重大な理由」

行政(厚生労働省・ハローワーク)
「重責解雇」という表現で運用

実務(会社・手続き)
離職票や給付判断で使用

つまり、
「重責解雇」とは雇用保険の実務を円滑にするための行政上の用語
ということになります。

 なぜ誤解が生まれるのか
ここで誤解が生まれやすい理由があります。
それは、会社で使われる「懲戒解雇」と、この「重責解雇」が似た印象を持つためです。
しかし、

懲戒解雇は会社の処分
重責解雇は雇用保険の判断
であり、まったく別のものです。


 まとめ「重責解雇」という言葉は法律には存在しません。
しかし、厚生労働省やハローワークの実務の中で明確に使用されており、
雇用保険の給付判断において重要な役割を持っています。
この言葉の成り立ちを理解することで、なぜ会社の判断とハローワークの判断が異なるのかが見えてきます。