作成日:2026/05/17
労基署と、ハローワークの判断 ― 解雇予告除外認定と雇用保険上の重責解雇の関係 ―
会社の解雇実務で、こんな疑問を持たれることがあります。
「労働基準監督署で解雇予告除外認定を受けたのだから、雇用保険でも当然“重責解雇”として扱われるのではないか」この考え方には一定の合理性があります。
労働基準監督署の解雇予告除外認定は、行政機関による慎重な審査を経た判断であり、非常に重要な資料だからです。
ただし、制度上は、労基署の判断とハローワークの判断は別の視点から行うという事を認識しておくことが重要です。
「何を判断しているか」が異なるという点です。
■解雇予告除外認定とは
労働基準法第20条第1項では、会社が労働者を解雇する場合、
- 30日前の予告 または
- 30日分以上の解雇予告手当の支払い
が必要とされています。
ただし、同条ただし書では、
「労働者の責めに帰すべき事由」がある場合、この義務が免除されるとされています。
つまり、労働基準監督署が判断しているのは、会社が解雇予告手当を支払わずに即時解雇できるかという点です。
■雇用保険側の根拠
一方、雇用保険では、厚生労働省『雇用保険業務取扱要領(52201)』
において、離職理由の判定について次のように示されています。
「客観的資料、関係者の証言、離職者の申立等を基に慎重に判断する」さらに、
「画一的、機械的に行うことなく、その者の個別具体的事情等を十分に考慮して適切に行う」
とされています。
つまり、雇用保険上の離職理由は、会社の申告だけで自動的に決まるものではありません。
なぜ別判断なのか
これは行政機関同士の矛盾ではありません。制度目的が異なるためです。
労働基準監督署 労働基準法の観点→ 解雇予告手当の支払い義務を免除できるか
ハローワーク
雇用保険法の観点→ 失業給付という公的給付に制限をかけるべきか
見ている制度と目的が異なるため、制度上は別途判断の建付けになっています。
■実務上のポイント
厚生労働省『雇用保険業務取扱要領(52201)』が示すとおり、雇用保険上は、3点
本人の申立 A客観的資料 B個別事情 も含めて判断する制度設計になっています。
まとめ
●労基署の解雇予告除外認定→ 労働基準法上の判断
●ハローワークの重責解雇判断→ 雇用保険法上の判断
雇用保険制度上は、厚生労働省『雇用保険業務取扱要領(52201)』
に基づき、別途離職理由の判断が行われる仕組みになっています。
この構造を理解しておくことが、実務上非常に重要です。













