作成日:2026/11/01
同一労働同一賃金ガイドライン改正【私傷病休職制度・2】
有期契約社員・アルバイトの休職制度をどう設計するか
前編では、正社員には私傷病休職制度がある一方、有期契約社員やアルバイトには制度が不十分である場合があります。今回は、制度整備の条件を具体例で考えます。
1.厚生労働省のガイドラインが示す考え方
厚生労働省の「同一労働同一賃金ガイドライン」(平成30年厚生労働省告示第430号・令和8年改正反映版)では、病気休職について次のように定めています。
「短時間労働者(有期雇用労働者である場合を除く。)には、通常の労働者と同一の病気休職の取得を認めなければならない。
また、有期雇用労働者にも、労働契約が終了するまでの期間を踏まえて、病気休職の取得を認めなければならない。」
との記載があります。
この説明をしたときにいくつかのお客様からは反発や不満の意見を頂きました。
ポイントは「労働契約が終了するまでの期間を踏まえて」という部分です。
無期雇用の短時間労働者には正社員と同一の病気休職の取得を認め、有期雇用労働者には契約期間を考慮した制度設計が求められます。
【問題とならない例】「A社においては、労働契約の期間が1年である有期雇用労働者であるXについて、病気休職の期間は労働契約の期間が終了する日までとしている。」
この例では、契約満了日を休職期間の期限とする取扱いが示されています。
ただし、具体的な勤続要件や休職上限を一律に定めたものではありません。
2.具体例:A社の休職制度をどう見直すか
A社では、正社員に次の制度がありますが、有期契約社員やアルバイトには休職制度がありません。
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項目 |
正社員の現在の規定 |
|
適用開始 |
入社後1年経過 |
|
休職開始 |
私傷病による欠勤が1か月に達し、医師の診断により療養が必要な場合 |
|
休職期間の上限 |
3か月 |
�@ 適用開始時期:有期契約社員にも勤続1年という条件を設けるのか、契約更新の状況を考慮するのかを検討します。ガイドラインは具体的な勤続要件を定めていません。
�A 休職開始までの欠勤期間:正社員と同じ欠勤1か月を条件とするのかを検討します。週4日や3日勤務などの短時間労働者については、暦日と所定労働日数のどちらで数えるかも明確にします。
�B 休職期間の上限:有期契約社員では、契約満了までの残存期間が重要です。
�C 対象となる労働者:「アルバイト」という名称ではなく、有期雇用か無期雇用かも確認します。
【ポイント】更新時期と休職期間
有期契約社員の場合更新時期と休職期間が必ずしも一致するわけではありません。ここが有期契約社員の取り扱いにおける重要ポイントとなります。
以下の例で考えてみましょう。
この会社は正社員の休職の上限期間は一律3か月です。
|
ケース |
契約満了まで |
制度設計の検討例 |
|
A |
6か月 |
正社員と同じ3か月を上限とする |
|
B |
1か月 |
契約満了日までを上限とする |
例えば「休職期間は3か月を上限とし、有期契約社員については労働契約の満了日を超えない」という設計が一案です。
厚生労働省がこの具体的条件を定めたわけではありません。休職期間と契約更新の判断は別問題であり、雇止めには労働契約法第19条などへの注意が必要です。
【更新の有無】
必ずしも更新時期にかかったから契約終了という事ではなく社員の実績と状況を考慮することが必要となり、判断は慎重に行う必要があります。
以下の点にも留意し、必ずしも更新時期にかかったから契約終了という事ではなく社員の実績と状況を考慮することが必要となり、判断は慎重に行う必要があります。
・どの程度の治療期間か
・更新をどの程度繰り返しているのか
といった点を考慮します。
3.休職中の社会保険料は本人への事前説明が重要
私傷病休職中を無給としていても、健康保険・厚生年金保険の被保険者資格が継続する限り、原則として社会保険料は発生します。会社は事業主負担分を負担し、従業員負担分についても徴収する必要があります。
無給の場合は給与から天引きできないため、本人負担分の金額、毎月の支払時期、振込先などの徴収方法を休職開始前に説明しておきましょう。長期休職では負担が積み重なるため、事前の確認がトラブル防止につながります。
4.まとめ
有期契約社員の休職制度では「労働契約が終了するまでの期間を踏まえて」設計することが重要です。適用開始時期、欠勤期間、休職上限、対象者を整理し、休職中の社会保険料の徴収方法も含めて就業規則と運用を整備しておきましょう。
参考:厚生労働省「短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針」(平成30年厚生労働省告示第430号、令和8年改正反映版)18ページ「第3・5 福利厚生・(4)病気休職」













